「間違いないっ!」パソコンの選び方

メモリは便利な作業台

メインメモリの仕組み

 

USBメモリとは近くて遠い存在

 CPUを作業員として例えるなら、パソコンに内蔵されているメインメモリは作業をする為の机、作業台に相当します。

 

 機能自体はUSBメモリと同じく一時的にデータを保存しておく場所ですが、USBメモリと違うのは2点。

  • 電源を落とすと内容が消えてしまう
  • そのかわり読み書きのスピードが段違いに速い

 

 CPU以外の構成部品の中で、このメインメモリは最も高速な読み書きが出来る事が特徴です。

 

 命令を受けて計算した答えをメモして置いておいたり、次の命令を置いておいたり・・・
 いくら頭や腕の回転が速くても、書類や文房具、工具や作業途中の製品を置いておくスペースがなければ効率が落ちてしまいます。
 パソコンも同じで、せっかく途中まで出した答えを置いておく場所がなければ、その答えが必要になった時にまた1から計算し直さなければいけないので、CPUだけ高速でもメモリが足りないと全体的なスピードが落ちてしまいます。


メモリの速度はCPUには追いつけない

 しかしながら、2000年代になるとCPU自体の処理速度が極めて高速化しているにも関わらず、高速大容量が自慢のメインメモリのアクセス速度の向上が追いついていないため、メインメモリとCPUとの処理速度の格差が生じてしまっています。

 

 CPUがメインメモリへアクセスしに行くと、メモリが応答するまで多大な時間(数百クロック)を待たされることになり、これだといくらCPU周波数を速くしてもメインメモリの速度でプログラムの動作速度が決まってしまうので、CPU自体の速度を有効に活用できません。

 

 例えるなら、作業台がごちゃごちゃしていて目的のメモや部品を見つけるのに時間がかかってしまうようなイメージでしょうか。
 この差を無くすのが近年の高性能CPUの最も大きな課題と言われています。

 

 このため、メインメモリに用いられている大容量化が容易なダイナミックRAM(DRAM)よりも、容量はあまり増やせないけどDRAMより高速に読み書き出来るスタティックRAM(SRAM)をCPUに内蔵させているのが2000年以降のCPUの特徴です。

 

CPUの中にもメモリが入ってる

 

 CPUの項では省きましたが、CPUの性能表をよく見ると「L1キャッシュ」とか「L2キャッシュ」、「L3キャッシュ」という項目があります。これがCPUに内蔵されているSRAMの事で、L1が最も高速でCPUに直結されており、L2、L3と数字が大きくなるにしたがってアクセス速度が遅く、代わりに容量が大きくなっていきます。

 

 作業台の例えに戻すなら、広い大きな作業台(メインメモリ)に部品や書類が入った箱を山積みにし、比較的小さくて作業員に近い台(L2キャッシュ)に今必要な部品が入った箱を置いておく。
 さらに必要な部品を必要な数だけ取って、使い勝手のいい小さな作業台(L1キャッシュ)で組み立たり計算したりする。
 出来上がった製品をL2キャッシュ台の空いている所に置いて、また必要な部品をL1キャッシュ台に持ってきて作業をする・・・を繰り返し、L2キャッシュ台が出来上がった製品だけになったらメインメモリ作業台に置いてある箱と入れ替える・・・。

 

 こうする事で、作業員(CPU)は効率良く仕事をする事ができるというのが、現代のCPUとメモリの役割になっています。

 

 同じような用途として、逆にメモリよりも速度が遅すぎるという理由で、後に説明するHDDの内部にも、CDやDVDを読み書きする光学ドライブの内部にも、速度を補う為にメモリが用いられています。

 

 意外な所では、実は液晶ディスプレイの内部にも用いられています。
 これは全く別の理由なので、機会があれば説明します。

具体的な数字が好きな人の為に・・・
DDR3-1600という規格のメモリの転送速度は12.8GB/秒。
1秒間にDVD2.7枚分読み書き出来る速度だぜ(^_-)-☆
これでも遅いつーんだからすごくない?

メインメモリの容量には制限がある

 作業員が「作業台が小さいから」と言って社長室に乗り込んで広くて高級な机を占拠する事ができないように、メインメモリにもOS(WindowsやMacなど)によって使用出来る容量の上限が決まっていますので、容量が大きければイイ・・・というものでもありません。

 

 Windows7を搭載していても32bit版だと4GBまでしかメモリを搭載できません。
 64bit版なら128GBまで搭載できますが、現在そんなメモリはありませんし、一般の方は8GBでも使い切る事はないでしょう。
 4GBは欲しいけど、8GBは用途に合わせて検討を。

 

32bit版OSなら上限は4GB。

ほとんどの人は4GBで十分。必要になったら安く追加出来る。

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